建具として
生かされた
組子細工。

組子 木下正人 「作品たち」

和みの風を届ける木下正人の仕事

 和風建築全盛の頃、建物の中で唯一人間の手で可動させることができる建具は、住まいの価値を決める重要な要素であった。その意匠として、様々な技が編み出され、発達を遂げてきた組子細工。実際に手がけた作品が収まる空間を見せていただいた。
 まずは、組子の集大成ともいえる伝統的和風住居へ。建具を任された父と一緒に、秋田県に出向き、目にかなう丸太一本を買い付けてきた。組子の製作期間は、約半年。昼は外光が内側に射し込み、夜は逆に部屋の灯で廊下に図案がくっきりと現れる。
 和の印象が強い組子だが、洋の家にも馴染む懐の深さがある。施主の宝物という東山魁夷の絵を、組子で再現して欲しいという依頼であった。「幾何学の組子で、なだらかな山の稜線を描くわけですから未知の世界でした。部位によって、濃い所は神代杉、緑の部分には朴の木と使いわけたり。初めての試みで楽しかったですよ」。
 伝統的な組子に留まらず、和も洋も超えて施主の想いを形にしていく。「施主さんの心にずっと残る組子を作り続けたい」。木下さんが目を細め、破顔一笑した。

和風住宅の家(大川市) 左手に日本庭園を望む引き戸。額縁のように仕上げた。

和風住宅の家(大川市)
和風邸宅の玄関真正面に見える「組子の集大成」ともいえる作品。同じ図案でも柄の密集度を変え、グラデーションをつけた。

和風住宅の家(大川市)
長額に、麻の葉、桜亀甲などの図案が並ぶ欄間。長額の端を丸めるだけでやわらかな印象。

洋風住宅の家(大川市)
玄関にあしらったシンプルな組子は、洋の家にもすんなり馴染む。

洋風住宅の家(大川市)
目線の高さに、桐麻の葉の図案をあしらった昔ながらの源氏襖。桐の花は、大川市の花。

洋風住宅の家(大川市)
父との合作。八女の竹職人に編んでもらった花のモチーフが半透明の障子硝子にうかびあがる。

洋風住宅の家(大川市)
東山魁夷の絵を再現。自然の木の色を生かすため、紫外線防止のクリアワックスを塗った。

目指すのは、
いつも
もういっちょ上。
自分にも、
時代にも、
負けたくないから、
前だけ向いて
歩いていく。

目指すのは、
いつも
もういっちょ上。
自分にも、
時代にも、
負けたくないから、
前だけ向いて
歩いていく。

木下正人(きのした・まさと)略歴

昭和39年(1964) 8月6日福岡県大川市に生まれる
昭和57年(1982) 福岡県立大川工業高校卒業後、栃木県鹿沼市の建具屋に師事
昭和59年(1984) 栃木県鹿沼市の組子屋に師事
平成 2年(1990) 26歳で大川市に戻り、「木下木芸」設立
平成19年(2007) 大川地域ブランド「SAJICA」にてフランス・パリの展示会に出展
平成20年(2008) 同じくドイツ展示会に出展
平成21年(2009) 同じくドイツ展示会に出展